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月刊メディカルサロン「診断」

新しく生まれ変わる月刊メディカルサロン2003年3月号

人生には意外な展開が待っている

「この先の人生、いったいなにが楽しいのだろう」と思うことはないですか?

「もうなにをやっても面白くないし…」と感じていませんか。「新しい自分に生まれ変わって、人生を再び楽しみたい」と思っていませんか。

ある20歳の女性スタッフが私に告げました。「先生、背が伸びました。」私は耳を疑いました。そのスタッフは、150cmの身長を伸ばしたくて、成長ホルモンのスプレーを2ヶ月前から利用していたのです。

私は、医学部生の頃にはっきりと学んでいます。「長管骨の骨端線が閉じてしまえば、もう身長は伸びない」と。講義でも聴きましたし、医学の教科書にも記載されています。

長管骨とは、大腿骨などの細長い骨のことです。骨端線というのは、骨の先の丸くなったところの根元の横線のラインのことで、骨の新生を行う場所です。この骨端線で細胞が活動して、骨が伸びるのです。「骨端線が閉じる」というのは、その細胞の活性がなくなってしまうことを意味しています。通常17歳までに骨端線は閉じてしまいます。

この女性スタッフは、その医学の常識に反して身長が伸びたというのです。「骨端線が閉じても身長は伸びる」という経験を受け人れるべきなのかどうか、私は悩みました。そんなおりに、ある仕事上の知人の男性(26歳)が私に告げました。「先生、あの成長ホルモンは予想していたより効果が早く現れますね。まだーヶ月しか使っていないのに、身長が2mm伸びました。妻と私は同じ身長だったのですが、数日前に鏡の前で、歯を磨いていると私の眉のほうが高くなっていて、あれっということで計ってみると、身長が2mm伸びていたのです。妻も成長ホルモンを使っていますが、背は伸びていません。脂肪はよくとれて、お腹はずいぶんとへこんだようです」

常識が引く限界線

もはや、医学書で学んだ「骨端線が閉じてしまった20歳以後、背は伸びない」という常識を放棄するしかありませんでした。と同時に、ウキウキととても楽しい気分になってくるのです。

「教え込まれた常識にはウソもあるのだなあ」と。ほとんどの医師は、教え込まれた常識をかたくなに守って生きています。おのずから判断範囲、行動範囲の限界を定めて、その中で生きています。仮に、「30歳なのに背が伸びた」と語る人をみても、ほとんどの医師はその話を真顔で受け止めず、「何かの間違いだろう」という程度の気分で軽く聞き流しています。

そういえば、私が提唱した「朝だけダイエット」などは、教え込まれた常識を打破するものでした。「朝食は食べるものだ」と思い込んでいる人にとっては、朝食を抜くことによって生じる別次元の有意義性を頭から否定し、それ以上の思考を深めることにストップをかけてしまいます。

固定観念の向こう側には新たな可能性が

私たちには、幼年期、学生時代に、文章や画像、映像、音声などで学んだことが身についています。ただ身についているのではなく、固定観念としてこびりついています。こびりついた固定観念の中で判断し、行動しています。その固定観念が、自分の世界の外枠を定めてしまい、その中での人生を歩んでいます。

その途上で、人生の面白みを失っていることがしばしばです。固定観念からはみ出る現象を経験しても、即座に否定する癖がついています。意外な経験をし、その経験を固定観や、心に照らして否定するのではなく、その経験を受け入れることにより、その固定観念に疑問が与えられ、新しい世界が切り開かれていきます。

自分の中の世界が新しく誕生するのは、そんなときです。「たくさんの意外性のある経験を求め、新しいことにチャレンジしながら、経験の中から学んだことを過去の学習よりも優先させることが自分にとっての新時代作りの第一歩といえるのじゃないかな」そんなことを直感させられた成長ホルモンのエピソードでした。冒頭に述べたような悩みを持っている人は、このエピソードから何かを学んでいただきたいと思います。

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