HOME > エッセイ集 > 軟骨を守ること

月刊メディカルサロン「診断」

軟骨を守ること月刊メディカルサロン2003年12月号

姿勢の老若を決定づけるものは

30歳代の颯爽とした姿の人と80歳の人を見比べてみてください。30歳代は身体の線が曲がっていません。地面から身体がスッと美しく伸びています。膝関節もまっすぐで、腰も曲がっておらず、ぴんと胸をはっています。歩いている姿も美しいものです。ところが、80歳になると膝がなんとなく曲がり、腰が少しお辞儀調になり、胸が前かがみになっています。歩く姿も弱々しく感じます。なぜそのように変化するのでしょうか。

原因は、「軟骨の衰え」です。骨と骨のつなぎ目には軟骨が取り巻いています。その軟骨が磨り減って、変形するのです。その結果、老人特有の体型、スタイルになってしまいます。しっかりとした軟骨を維持することは、見た目の老化を阻止する上で、とても大切なのに、今ひとつ注目されていません。「軟骨の衰えから来る見た目の姿の老化」は、病気の扱いを受けていないので、医学会で取り上げられていないのです。

軟骨はどのようにつくられる?

メディカルサロンは、健康管理指導をテーマとして、依頼者のすべてを「90歳を超えても、頭脳明晰で自分の足でどこにでも行けて、見た目の姿は50歳」という身体にしていくことを目標にしています。そのメディカルサロンの立場としては、軟骨の衰えを放置するわけにはいきません。

軟骨を作るのは軟骨芽(なんこつが)細胞です。この細胞が軟骨の原料を取り込んで、軟骨を作ります。軟骨そのものは、コラーゲンやグルコサミノグリカンやコンドロイチンでできています。軟骨芽細胞がコラーゲン繊維をつくりスポンジのような土台を作ります。その土台の隙間にグルコサミノグリカンやコンドロイチンが詰め込まれて、立派な軟骨が完成します。詰め込む役割を持つのも軟骨芽細胞です。グルコサミノグリカンの原料は、カニやエビの甲羅に含まれるグルコサミンです。これらは、鳥や豚、牛の軟骨にももちろん、たくさん含まれています。

軟骨芽細胞が、軟骨づくりの司令塔です。加齢とともに軟骨芽細胞の機能は衰えていきます。そして原料の1つであるコンドロイチンは20歳ぐらいまでは体内で製造することができます。しかし、20歳を超えると体内での製造能力は失われます。食べ物で補うしかありません。

軟骨の衰えには、実績のある確かな対策を

ここまで、話してくると、加齢に伴い、なぜ軟骨が衰えるのか、そして、どうすれば軟骨の衰えをカバーできるのかが自動的にわかってきます。軟骨芽細胞を活性化させ、軟骨の原料を補給することが大切なのです。

「関節の痛みはプラセンタ注射で治る」という書籍が書店に並んでいます。プラセンタ注射は軟骨芽細胞を活性化する作用をもっているのです。したがって、関節の磨り減りで起こる関節の痛み(膝や肩など)は、プラセンタ注射で軽減されます。
「変形性膝関節炎には、グルコサミンが効く」といわれています。確かに、正当な医学調査により、患者に対して病院の医師が投薬する非ステロイド系抗炎症薬の鎮痛剤より、サプリメントのグルコサミンのほうが膝関節の痛みの解消や関節の磨り減りに対する根本治療に有効であると証明されています。

病気の治療をテーマとする従来のクリニックでは軟骨の衰えを取り上げることは稀ですが、健康管理をテーマにするときは、軟骨には十分に気づかってください。
「年をとってもおしゃれを楽しみ、恋を楽しみ、男女仲良く公園を散歩する。高齢をものともせず、ときには海外に出かける」という社会をつくる上でも、軟骨を守ることはキーの1つなのです。

私が行うメディカルサロンの健康管理指導では、60歳を超えた人には身体の状況に合わせて、3~6ヶ月ごとに1か月分のグルコサミンのサプリメント(プラセンタ含有)を補給してもらって、軟骨を守ることに注意を注いでいます。

エッセイ一覧に戻る