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月刊メディカルサロン「診断」

本能月刊メディカルサロン2004年7月号

誓いとは・・・

「汝はこの女性を生涯の伴侶として選び、愛し続けることを誓いますか」「はい、誓います」

結婚式の定番です。私はこのシーンに出会うたびいつも苦笑を禁じえません。

なぜ誓い合うのでしょう。「儀式だから」といってしまえばそのとおりなのですが、なにせイエス様の教えなのですから、もっともっと深い意味があるような気がします。

では次の質問にも答えてください。

「汝は、おなかがすいたときに何か食べたいと思い、寒いと感じたときに服を着込みたい、と思うことを誓いますか」

変な質問のような気がします。

なぜなら、おなかがすいたら何かを食べたいと思うのは当り前のことだからです。寒いときは服を着込んで寒さを防ごうとするのが当り前だからです。当り前すぎて、まじめに回答する気にはなりません。

うっすらと感づいた人いるでしょう。そのとおり、「人は当り前のようにそうする」ということに対しては、わざわざ誓わないのです。「放っておけばそうならない」ということに対してのみ、誓わなければならないのです。

ではなぜ「汝はこの女性(男性)を愛し続けることを誓いますか」と誓約するのでしょうか。自然の流れに任せて、本能のままに放置すれば、愛し合わなくなるからです。

社員の本能と会社の要求

会社内で、「しっかりと仕事をしないか」と叱咤激励を聞くことがよくあります。組織の体制が、人の本能の流れに逆らっているときに、叱咤激励が必要になるのです。その組織は、社員の本能の流れに逆らうことを社員に要求しているのです。

社員が本能的に「この会社で命がけで仕事することが、自分の将来の大きな糧になる」と認識していれば、その社員は自動的に一生懸命に仕事しますので、叱咤激励は不要になるのです。

人の本能をひとつの方向に自然に向けていくにはどうしたらよいか、議論すると面白い分野です。私の健康管理指導に長く通っている会員さんとは、健康の話を離れて、このタイプの話をすることがよくあります。

組織において重要な課題とは、社員の本能を見分けること

さて、ここでひとつだけ、「本能の流れ」を語るときに重要な議論があります。対象となる人物が、本能的に「働き者」か「怠け者」という問題です。「本能的怠け者」が集団をつくると、いかに上手な組織を組み立ててもうまく機能しません。「働き者」か「怠け者」かを上手に識別することが、組織の命運を分ける重要な問題にもなるのです。今回は、本能についていくつか語ってみました。

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