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月刊メディカルサロン「診断」

上医、中医、下医と食事づくり月刊メディカルサロン2004年8月号

中国での医師の分類

メディカルサロンは、健康教育や予防医学、健康管理指導に強い関心を寄せる医師を募っています。先日、やや風変わりな経歴を持つ医師が訪ねてきました。

その医師は、中国で育ち、中国で医師免許を得ています。つまり、日本の医師ではありません。中国の医師としての素養を身につけ、数年前に日本に来たのです。メディカルサロンを訪ねる前は、漢方系のアドバイザーをしていたようです。今では、日本語は堪能です。また日本で結婚し、日本国籍を手に入れたようです。彼と食事をしているときに、面白い話が出てきました。

「中国では、医師を上医、中医、下医(げい)に分けています」

てっきり、「できる医師」「できの悪い医師」で分類しているのかなと思ったら、全然違いました。

「下医とは、病気になった人を治す医師です。中医とは、体調の悪い人や糖尿病、高血圧などをみる医師です」

ふんふん、なるほど、日ごろのメディカルサロンと同じようなことを言うなと思って聞いていると、次の上医の話が強烈でした。

「上医とは、皇帝やその一族に食事をつくる医師です」

中国でいう、最高の医師というのは、食事をつくる医師だったのです。言葉遊びのように使われる「医食同源」なんて生易しいものではありません。れっきとした医師が食事づくりに取り組むのです。

医師が行う食事づくり

その話を聞いたときに数千年の歴史を誇る中国はさすがにすごいなぁ、と思いました。健康管理が「食事づくりに行き着く」というのは、つい最近の私がやっとたどりついた境地だからです。

六本木にメディカルサロンが運営するレストラン(A-style)を開設しましたが、これはまさに、「健康管理指導は食事づくりに行き着く」という最近の思いが昂じて、つくったものです。メディカルサロンの12年の歴史は、採血結果の説明から始まり、健康管理の学問化(寿命管理、体調管理、容姿管理の3分類)、予想医学の概念をつくり、身体改良の策定、サプリメントの活用を経て、食事づくりへと行き着いているのです。

私が12年間考えて考えて考え抜いた結果を中国は、長年の歴史の中で自然発生的に生み出しています。本当にすごいものだと感銘を受けました。

さて、「健康にいい食事」といえば、ほとんどの人は和食を想像します。「洋食は健康に悪い」という不文律があるようです。これに関して、私は疑問を投げかけています。

「健康にいい洋食づくりもあるはずだ」と。いろんな料理を楽しんで生活を豊かにしたいという本能を人は持っています。その本能をそのまま生かしてあげるのが健康管理指導の正道です。洋食を最良の健康管理にフィットさせる方法もあるはずです。六本木に築いたイタリアンレストラン「A-style」を舞台に「健康洋食メニュー」づくりを研究していく、という新しい分野へと、メディカルサロンは進行しはじめました。その成果を数年後に書籍に残したいものです。

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