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月刊メディカルサロン「診断」

漢方医学の深遠さと「片手にサプリ、片手に漢方」月刊メディカルサロン2004年9月号

メディカルサロンに入会して、私が直接みることになった人は、何が何でも90歳を超えるまで生き抜いてもらい、ぴんぴん元気で頭のさえた状態でいてもらう」

私はそのような思想を持ち続けています。それに応じて、病気治療のために進歩した医学を健康管理指導を行うためのものへと改編し、実践応用しています。その一連の過程では、医学に西洋も東洋もありません。つかえる長所を最大限に引き出して引用するだけです。

西洋医学と東洋医学

西洋医学の長所は、確率論に基づいたデータ集積を基盤とする医学であることです。実践治療分野では、風邪や感染症などの急性疾患の治療に強みを持っています。治療原点となる方針は、数値改善です。したがって、体内の酸素に対して作用する医薬品が多く、高血圧や糖尿病に対して単刀直入に数値を改善することが可能です。欠点は数値改善に偏りやすく、薬を長期使い続けた人に、インポテンツ、軽いうつ状態などの表にでにくい副作用が認められることです。

東洋医学は、経験則に基づいています。「肝心要(かんじんかなめ)」「心腎不交」などの意味深な格言があり、その格言に基づいて医療を組み立てます。実践治療分野では、冷え性や自律神経失調症、肩こりなどの慢性的不定愁訴的状態に対して強みを持っています。治療のための材料として、生薬を使います。これはいわゆる植物です。植物から抽出した成分を主な治療薬として用いるのです。治療原点となる方針は、あまり期待できませんが、「なんとなく元気がわいてくる」という効果が伴ってきます。

腎臓に注目していた漢方医学

さて、日本人の死因順位を振り返ってみましょう。1位ガン(悪性新生物)、2位心疾患、3位脳血管疾患、4位肺炎でこの辺は不動のベスト4といえるでしょう。それに次ぐ死因は何でしょうか?自殺や事故が続くのですが、それらを除いて、病死の中で考えます。

75歳を超えると、ベスト4に続く病死の原因で一番多いのは「腎不全」なのです。腎臓が徐々に悪化して、最後は機能しなくなり、体内の老廃物を排出できなくなり、まもなく死んでしまうのです。人体の各種の臓器の中では、単体では腎臓の寿命がもっとも短く、せいぜい120年というところです。この腎臓の寿命が、結局は人間の最終寿命を決定しているというのが現状です。

この腎不全について、西洋医学は無力です。「腎臓が悪い」という患者をみたときに、施す治療手立てがありません。じっと経過を観察し、いよいよ腎臓がダメになったときに、人工透析をしましょう、という治療路線になります。

ところが、東洋医学は長年の歴史的経験則で、腎臓の重要性を説き、腎臓に対する漢方治療的手立てを盛んに論じています。私はその事実を知り、愕然としました。

サプリメントと漢方

「とにかく、メディカルサロンの会員になった人には長生きしてもらう。ぼけないでぴんぴんいてもらう」

それを実現するために、漢方医学も高度に応用する価値が十分ありそうです。食生活から来る病気=食源病に関する知見は漢方医学でむしろ豊富です(医食同源)。健康管理指導は、武器として「片手にサプリ、片手に漢方」という路線が現実的に有効なように思えます。

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