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月刊メディカルサロン「診断」

医師の役割月刊メディカルサロン2005年1月号

現在医師が活躍している場とは

医師の役割「病気になった人を治療する」というのは医師が最も活躍できる場面です。交通事故で壊れた身体を見事に修復する外科医は、そのカッコよさに憧れさえ感じます。

内科医も負けていません。さまざまな治療の進歩で、つい数年前までは痛みに苦しんでいたリウマチ患者が今はピンピンしているということもしばしばです。心筋梗塞で意識不明の重体患者に対してカテーテル治療を駆使して治療する姿も鮮やかです。腹痛や頭痛、風邪、花粉症、アトピー性皮膚炎などの治療も進歩しました。「痛い、痒い」などで苦しむ患者もずいぶん減ったものです。

病気になった人への治療は、保険医療制度がカバーしてくれています。この範囲では、治療そのものだけではなく、治療に対する患者の負担が小さいので医師は非常に感謝されます。医師は麻酔的な喜びに浸れます。優秀な医師の全員がこの分野で活躍しています。

広い範囲で医師が活躍できる場つくりを

人間ドックが普及しました。脳ドック、PETなど検査機器の進歩に伴っています。早期発見を主目的にしています。この分野に保健医療は適応されません。

予想医学が進歩しました。一人の人の身体を上手に調べると将来起こりうる健康リスクが予想できます。そのリスクを回避できるように指導するのも医師の役割です。しかし、この分野は保健医療は適応されません。

「体重を減らす」のは、正式に医療用許可された食欲抑制剤マジンドールを利用すれば簡単です。しかし、BMI35以上の巨体でないと保健医療は適応されません。

見た目の姿の重要性は、男女をとわず実社会では厳然と存在しています。姿を整える医療は、外科的分野だけでなく、内科的分野にも広がっています。傷や火傷の跡が残らないように防止する医療やしみ、そばかすをとる医療も盛んですし、肌質を良化する医療も進歩しました。しかし、この分野では当然、保健医療は適応されません。

「年をとってもおしゃれを楽しみ、ショッピングを楽しみ、海外旅行を楽しむ」というのを目指して、若返り学(アンチエイジング医学)が普及してきました。この分野にも保険医療は適応されません。背が低いのを苦にしている人たちがたくさんいます。その悩みは早く対処すれば解決できた悩みです。しかし、小児科領域では「背を伸ばす」ことは、内分泌不全低身長症などの病名が確定されている低身長時にしか適応されません。

保健医療でカバーされていない分野で医師が果たせる役割はたくさんあるのです。「病気の治療」という分野に優秀な医師のほとんどが閉じ込められている現状を打破し、多くの人を「思う存分に人生を楽しめるように、身体面、健康面をサポートする」という広い分野に入り込めるように新たなレールを敷いていくこともメディカルサロンの務めであると思っています。

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