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月刊メディカルサロン「診断」

医薬品を事前に処方しておく月刊メディカルサロン2005年4月号

検査、投薬、内科系医療の現状

大学病院や近所の診療所にたくさんの患者がきています。内科を覗いてみると、ほとんどの患者は薬をもらいに来ているだけです。高血圧や糖尿病などの慢性疾患で通院している人も、ほとんどちょっとした検査と投薬だけです。

一方、風邪や頭痛などの一時的な病気できている人も大勢います。この人達も薬ともらいにきているだけというのが現状です。せっかく来て長い時間待たせたのですから、薬を処方して返すだけにするのも悪いような気がします。そこで、しなくてもいいような検査を盛んに行います。結果として莫大な医療費が必要になります。それらの医療費は3割負担などといわれていますが、大元は健康保険の掛け金として前払いさせられてきたものです。

上海の病院にて

私は先日、上海の病院を視察してきました。中国はもともと社会主義国だあっただけに、病院が規模的に鮮やかに分類されています。市レベル、一般レベルという分け方です。比較的大規模な病院の中に入ってびっくりしました。待合室や処置室のいたるところで、患者が点滴を受けています。普通の姿でじっとしている人はまれです。「なぜみんな点滴しているのですか」と私は案内してくれた内科のドクターに尋ねました。
「患者は、病院の外来は点滴治療を求めてやってくるのです」
「日本では、ほとんどの患者には薬を出すだけですよ」
「上海では、薬だけで治療できる場合には、わざわざ病院に来ないで、薬局に薬を買いに行きます。病院にくるのはすぐに治して欲しい患者に限るのです。だから、点滴や注射による治療になり投薬だけというのはまずありません」
「薬局では、患者が薬を選ぶのですか?」
「子供のころから、こんなときにはこんな薬、というのを学んでいます。だから、中国の人はたいての場合、一時的な病気では、自分で自分の薬を選んで治せます。」

薬は自分で判断して選べばよい

日本では、「生兵法(なまびょうほう)は怪我のもと」などといって「自己判断はやめて、病院にいこう」という掛け声がかけられています。私はもともとこの掛け声には反対でした。患者・・というか一般市民・・・にきちんと学んでもらえば、自分の身体に一時的に必要な薬ぐらいは自分で判断することができるはずなのです。

事前処方が役立っている

保険診療というのは、「病気の治療のため」に存在しています。したがって、健康保険で薬を出すときには、病気状態の患者を診察した上で、その状況に必要な薬を処方するという過程を経なければいけません。

しかし、メディカルサロンは自由診療で営まれています。事前に薬を処方しておき、「このようなときに、この薬をこのように処方して下さい」とお話しておき、あらかじめ処方し、提供することができます。それがいまや、役立っています。特に海外への出張が多い人には人気です。

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