HOME > エッセイ集 > 数字に対する実力を鍛えるには

月刊メディカルサロン「診断」

数字に対する実力を鍛えるには月刊メディカルサロン2007年7月号

背を伸ばす医療」をテーマとして子供達と接していると、勉強のことがときどき話題になります。そのときには、「算数、数学が苦手なのは絶対によくない」という話を必ずすることになります。今回は子供の成長にとって大変重要な「数学力」について述べていきましょう。

数字に対する力は社会人として絶対に重要

理科系は数学の実力が必須です。文科系は数学力が不要かというと、それがまったく逆です。社会人になってから、数字に対する力=計算管理の能力が絶対的に要求されてきます。文科系出身者は、数字管理の能力に優れたものから順に出世していくといっても過言ではありません。数字は生涯にわたって切り離せないものです。数字に対する力は社会人としては絶対に重要です。苦手ではすまされません。世の中には「家計簿」というものさえ存在しますが、身の回りのほとんどすべては数字を尺度としています。

消費税計算:例えば、消費税計算がすぐにできない人が多いのに驚かされます。

「4700円に消費税5%をつけるといくらになる?」と尋ねた場合、すぐに答えられる人が意外に少ないのです。計算の仕方は、4700円を10分の1にして、470円。その半分が235円。つまり4700円の5%が235円になるので、その235円を4700円に加えて、4935円です。数字が得意な人はすぐに頭の中で答えを出しますが、苦手な人は、いつまでたっても答えが出ません。ついには電卓を出さざるを得なくなります(そんなわけで内税になったのかもしれません)。

答えを出すのに要する時間差がもはや生涯を決めてしまっているともいえるのです。数字に対して苦手意識を持ったまま、社会人になるのは望ましくありません。必ず克服しなければいけない課題です。

3桁(100~999)の数字20個を加算する、という現場に出会ったとしましょう。ある人が電卓で計算します。その人が「20472でした」と答えたとします。その結果を見てどう思いますか?瞬間的に「それは間違っているよ」と答えられなければいけません。「14230でした」という答えが返ってきたときに、「それはたぶん間違えているよ」と答えられる人もいます。その人は、20個の数字をざっと見て平均が250ぐらいであろうと、すでに見破っていたのです。この能力の管理は、上司になれるかどうかの差にもなります。

数学力を鍛える上での急所はこの2つ!

私は大学受験時代、全国模試で数学1位を何度もとりました。私が自己の数学力を鍛えていく上で、子供の頃のこれが急所ではなかったか、と思うことが2つあります。

【丸覚えで覚える】

1つは、「丸覚え」です。「円周率は?」と尋ねらときには、私は「3.141592653589793238462643383279・・・」と一気に出てきます。これは数字の丸覚えは必ず「語呂あわせ」が関係しています。語呂合わせは「さんいしいこくにむこーさんご、焼くなく見ふみやじろに、むしさんざんやいみになり」です。意味不明ですが、言葉にすれば容易に覚えられる歓声へとつながります。

私は「35×35は?」といわれると、すぐに「1225」と答えが出てきます。1の位が「5」である同じ2桁数字の掛け算(45×45、65×65など)の場合は、掛け算の答えの覚え方があるのです。35の十の位の「3」とそれに1を加えた「4」、この2つを掛けると12です。その下に25をつけるのです。すると1225になります。35×35=1225になります。35×35=1225なのです。「75×75」の答えは「5625」です。「7」とそれに1を加えた「8」、この2つを掛けると56。その下に25をつけて、5625です。75×75=5625です。同様に、「15×15」の答えは「255」です。「25×25」の答えは「625」です。「55×55」の答えは「3025」、「85×85」の答えは「7225」です。検算してみてください。

「丸覚えして、役に立つのでしょうか」という疑問が出てきます。ところがこれがおおいに役立つのです。子供達が授業中などに、何気なくこの話が出たときに、知っていて答えた子供は優越感を感じ取れます。「円周率は?」と尋ねられたときに「3.14」しか知らない子供に、一気に数十行の円周率を答えると友達や先生がびっくりします。ちょっとした「いいカッコ」の気分です。この瞬間に感じた優越感に端を発して、数字への興味、関心、さらなる好奇心へと発展していくのです。興味と関心が勉強への意欲を高めていくのは自然のことです。知的能力における優越感を作ってあげることは、子育ての基本です。

【加減乗除で10を作る】

2つめは、4つの数字を1度ずつ使いながら、加減乗除して10を作りトレーニングをすることです。たとえば、「3274」といわれれば、「7+4+2-3」です。4つの数字はどのような順序で使ってもよく、また、加減乗除は繰り返してもいいですし、使わなくてもいいのです。「3822」といわれれば、「(3-2)×8+2」です。「5963」といわれれば、「3×6÷9×5」です。「4517」といわれれば、「(7-4-1)×5」です。

理解できたら、「4449」で10を作ってみてください。

このトレーニングを教えてくれたのは、駅のプラットホームで近づいてきた見知らぬおじさんでした。私が小学校4年生のときでした。教わってからは、切符の4桁の番号を使って、一生懸命に考えたものです。最初は時間がかかり、ぎこちなかったのですが、数ヶ月たつうちに10を作れるようになりました。この4桁トレーニングが、私のその後の数字に対するすべてを克服していく原動力であったと思っています。

数字をコントロールしていくことを計算管理といいます。将来にゆとりや安定を求めたい人は必ず克服してほしいものです。

エッセイ一覧に戻る