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月刊メディカルサロン「診断」

少子高齢化対策の国体づくり月刊メディカルサロン2009年3月号

少子化による現役世代の減少が社会問題化しています。生産活動を行える世代の数が減るというのは、いろんな観点から問題が出来します。しかし、子供の人数を増やしたところで、現役世代の雇用が危機的状況なのですから、少子化がすすむのもやむを得ない現象です。というより、雇用難の時代が来ることを若い人たちが本能的に予見していたから、少子化が進んだのかもしれません。

この少子化対策として、私には一つの腹案があります。それは、「わが子が支払った所得税の一定割合を親に還付する」という新制度です。

そもそも子供を育てるというのは、莫大な出費行為です。種保存の本能のみで「子供が欲しい」というだけではこの出費行為に耐え切れません。この出費が心理的に困難だと思う背景には、出費に対する現実的リターンが乏しいという実情もあります。核家族化が進んでしまったので、子供を育てても、育てた子供の直接労力による老後の身辺安定を望むことが難しくなりました。親子の人間関係で解決できない高齢化社会の問題が進行してしまったのです。だから、金銭で解決せざるを得ない問題になっています。

子供を生んだり育てたりするときの手当金などの存在はもちろん有意義ですが、国家百年の大計を考えるなら、自分の子供が増えることにより老後が安定する、という意識を身近に感じられる社会作りを視野に入れるべきかと思います。

この制度が実施されると

  • 税金を立派に支払う子供を育てることへの意識が高まる。子供の教育の最終責任を教育制度に押し付けるのではなく、自己(両親)に回帰される問題とする意識が高まる。
  • 自分が立派に所得税を支払う人間になることが親孝行の一環となり、親孝行を原点とする社会作りの再構築が社会テーマとなる。
  • 日本社会における経営陣の人たちが、本能的に次世代の雇用確保を意識するようになり、産業空洞化の抑制にも役立つ。
  • 税を支払うということが親を助ける行為であるという身近な思いから、税負担というものが全国民の共有財産を作るためのものであるという意識が進歩する。
  • わが子を育てる夫婦の共同意識が高まる。

などのメリットが得られるような気がします。

子供を生まなかった夫婦の非難が届きそうですが、子育ての出費をしなかった分、それまでの人生に対してより満足のいく消費活動を行えたはずです。あるいは、その分の貯蓄ができているはずです。子育て出費を行った人と行わなかった人とである程度の峻別は必要です。子供ができなくて苦労した夫婦の皆様には、「ごめんなさい」と謝るしかありません。

子供をたくさん生んだほうが親への還付額は増えますし、所得税をたくさん支払う立派(?)な子供を育てた親ほど還付額は増えます。老後の安定のために子供を立派に育てることが一つのキーになってきます。もちろん両親が離婚した場合や、我が子が結婚したときの配偶者側への配慮など、細かく検討する部分はあります。

競争のあおりすぎや国家の保護主義化が心配ですが、何か手を打たないとジリ貧状態になることが予想される日本社会ですから、一つの選択肢として検討する価値があると思います。

今回は、あまりくどくどと述べずに軽く提案する程度にとどめ、多くの人で議論を進めてくれることを期待します。

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