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月刊メディカルサロン「診断」

セカンドドクターの在り方月刊メディカルサロン2009年10月号

セカンドドクターの在り方何かの病気にかかったときに、その診断、治療にあたるのが一般の医師の務めです。どこの病院でも医師はその職務を遂行しています。そして、その職務を支えるのが健康保険制度です。

それに対して、「その担当医と患者とのやりとりや経緯」を外部から眺める医師の存在が、ときどき大いに役立つことがあります。その立場の医師をセカンドドクターといいます。

私が創業したメディカルサロンは、進化する予防医学を駆使する健康管理指導を標榜して、個人の健康管理全体に主導的役割を果たすことを目的としていましたが、当初から、このセカンドドクターとしての立場も強く意識していました。

私の日ごろの診療では、他の病院に通院している人の場合、その病院での出来事などを話題にすることがしばしばです。そして、担当医の腹の内などを明かします。また、投薬されている薬はきっちりと聞きとめて、当方のカルテにも記載しておきます。その病院で受けた検査結果なども当方のカルテに記録を残していきます。いろんな内容の聞き取りを行いながら、私は胸の中でその担当医の治療方針の適否などを判定したり、治療手法に感心したりしています。

担当医の立場として病気を治療することはもちろん大切ですが、その人の人生観そのものを聞きとめて、受けている治療方針と人生観との融合性を見出し、指導するのも、セカンドドクターとしての役割になります。また、通院している病院で受けている治療を題材として、その患者本人、そして家族に対して健康教育をすすめることも大切な役割です。

そして、セカンドドクターは、「老いていく」ということへの対策に関して深い知識を持っていなければいけません。「病気を治療していく」という事象と「老いていくことによる身体機能の低下」という事象の両面から、患者と会話できなければいけないのです。

そんな背景から、メディカルサロンを創業して5~6年たった1997~1998年頃から、私はエイジングリカバリーの医学に深い関心を持つようになりました。そのエイジングリカバリーの医学は、後に一般に「アンチエイジング」という名で親しまれるようになったのは周知の通りです。

さて、私は日ごろの診療現場では会員と雑談し、その中から、身体に関係する事象を拾い上げ、プロとしての観点から健康管理指導の中に落しこんでいきます。雑談内容として、最近、リゾートライフの話題が多くなっていることに、会員の皆さんは気づいているかもしれません。

先日、思わぬ出来事がありました。ある大学病院に通院している会員がいます。いくつかの病気を患った過去があり、その関係で何種類かの薬を常用しています。

「体調はどうですか?」「生活を楽しんでいますか?」などの会話に、「リゾートライフを楽しむ体力と気力は維持されていますか?」などの質問を加え、会話を深めていきます。「やはり年なのでしょうかねえ。最近、坂道を登るのがしんどくって」という一言がありました。普通なら、黙って通り過ぎる会話ですが、プロとしての観点はそれを見逃しません。その人の年齢とその人の身体状況を知っている私にとっては、その話には違和感があるのです。通院している病院では、そのような話題が出ることは普通はありませんし、その会員も担当医にそんな話をしたことはなかったようです。

調べた結果、通院している病院から出されている薬の副作用による間質性肺炎であることがわかりました。急遽、その薬を中止したのは言うまでもありません。

このような出来事に出会うたびに、「医療構造改革、どうあるべきか」について、考えさせられることになるのです。

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