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月刊メディカルサロン「診断」

サポートとコントロール月刊メディカルサロン2016年4月号

「サポート」と「コントロール」

サポートというのは、日ごろからよく使う言葉です。「支える」「支援する」という意味です。サッカーにおいては、ファンのことをサポーターと名付けていますが、「支援者」の意図を含んでいるのでしょう。
コントロールという用語が、なじみ深いのは野球の際でしょうか。「あのピッチャーはコントロールがいい」というように使います。
野球を離れると、ちょっと違う意味が一般的です。「○○をコントロール下に置く」「コントロール不能の状態」などと使いますが、これらは、「統御する、制御する」の意味です。「君は、部下をコントロールするのがうまいねえ」というように、時には、「操る」の意味を含みます。

サポートとコントロール・・・アルコール

「血圧をコントロールする」という用語がありますが、自分の身体を管理するのにおいて、血圧を狙い通りの数値に収めておくことを示します。「糖尿病をコントロールする」というのは、血糖値を狙い定めた数値の付近にとどめるようにすることです。

そんなことはさておき、サポートか、コントロールかに関して日常の健康管理においては、アルコールとの付き合い方が一つのポイントになります。
「仕事を終えて夜に飲む酒が私の癒しだ」という人は大勢います。「お酒を飲まないと寝つきが悪い」という人もいます。「お酒が唯一のストレス発散だ」という人もいます。「お酒を飲むと機嫌がよくなり、気分良く過ごせる」という人もいます。人の生活をアルコールがサポートしてくれているのは間違いなさそうです。

一方で、「酒は百薬の長」と言いますが、実はいくつかの問題もあります。
飲み過ぎが続くと、膵臓ガン、食道ガンのリスクが高まることです。また、肝障害のことはよく知られていますが、アルコール摂取が過ぎて脂肪肝になると心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。これらは、長期間飲み過ぎたときの問題ですが、日常生活においては、「睡眠の質を低下させる」という問題があります。
「寝つきがよくなる」ので、アルコールは睡眠のためにはプラスであると思っている人もいますが、それはとんでもない錯覚です。毎日、アルコールを摂取している人がアルコールをやめると、間違いなく睡眠が深くなり、起床時の熟睡感が高まります。起床時に、若いころのような「もうちょっと眠っていたい気持ち」がよみがえり、「ああ、睡眠って、こういうものだった」を思い出します。
時々、2週間くらい連続でアルコールを抜いてみてください。そして、自分の身体の変化を感じ取ってみましょう。お酒がこんなふうに役立っていた、お酒がこんなふうにマイナスになっていたと悟ることができます。その悟りを開いていないうちは、お酒との付き合い方をコントロールできているという状態ではないのかもしれません。

サポートとコントロール・・・歴史

さて、サポートとコントロールという観点から歴史を見つめてみるのも面白いものです。
大和朝廷以降、天皇親政とされた時代がありました。天智天皇や、桓武天皇らが知られています。この時代、天皇は周辺の人材を見事にコントロールして、自分をサポートさせる立場に徹するように仕向けました。だから天皇親政とされたのです。
面白いのは後醍醐天皇です。天皇親政を布いたのですが、周辺人材をコントロールし切ることができず、周辺人材もサポート役に徹することに不満を感じ、足利時代へと移行されてしまいました。
天皇親政の時代は、天皇は周辺人材の誰かに決してコントロールされていません。しかし、平安時代に、天皇の代を経るうちに藤原氏全盛時代というのを迎えました。藤原摂関家時代は、藤原氏にコントロールされていたと言えるでしょう。
源頼朝は、関東の豪族に支えられて覇権を唱えましたが、武士たちをコントロールできてはいませんでした。だから、たやすく北条氏による執権政治へと移行したのです。

名君は大勢の部下にサポートされて国を平穏無事に収めます。しかし、君主が国政を面倒に思い、顧みなくなれば、部下の中から君主をコントロールしようとする者が現れます。
そんな者が最初に取り組むのは、君主との接点を自分ひとりだけに設定することです。つまり、自分を通さなければ、君主に言葉を伝えることさえできないようにします。年老いた豊臣秀吉を前に、石田三成はそのような動きをしていた気配がないとは言えません。当然、君主をコントロールしようとした三成の心に対して、同僚からは、怨嗟と非難が集まります。

サポートとコントロール・・・男と女

サポートとコントロール。これらは、人間関係、特に男女関係において深い意味を持ちます。
女は自分の愛する男をサポートしたいという姿勢を見せ、男はそれを嬉しく思い、やがて婚姻の経過を辿ります。しかし、時間とともに、女には「男をコントロールしよう」とする本能が芽生えます。

夫を自分のコントロール下におかなければ気が済まなくなった妻は、嫌味、皮肉、詰問口調を用い始めます。今の出来事に対して、次に同様のことをさせないようにするために、この3つを用いるのです。「次に同様のことをさせない」ためには、通常表現で話し合えば十分なのですが、嫌味、皮肉、詰問口調を使ってしまうのが女の性(さが)というものです。
夫をサポートすることに徹している女は決してこの3つを用いません。稀にただの憎しみとヒステリーの結果であることもありますが、たいていは「コントロールしたい」という本能そのものと断定していいです。夫をコントロールしようとするというのは、夫の自由を奪いたいということに他なりません。かくして、夫婦の仲には危うい気配が漂い始めます。

しかし、忘れてはいけません。人類は、「自由」を獲得するために命を捨てる戦いを展開してきたのです。人は自由を奪われたら、その自由を取りもどすために、どんなことでも行おうとします。
嫌味、皮肉、詰問口調で夫をコントロールしようとする妻の下で自由を奪われた男は、露骨な謀反か、密かなる謀反をたくらみます。露骨な謀反とはDV(家庭内暴力)のこと、密かなる謀反とは他に女を作るということです(なお、嫌味、皮肉、詰問口調は「言葉の家庭内暴力」と定義してもかまいません)。
このような展開はしばしば見かけますが、その展開にならないようにするために、サポートとコントロールを深く悟り、事前に手を打てる人は幸福を手に入れていくのです。

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