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月刊メディカルサロン「診断」

健康管理のソリューション掲載日2018年4月26日
月刊メディカルサロン6月号

「診断学、治療学を駆使して、病気になった患者の診療にあたる」
それが医師の役割です。

私は29歳時に慶応病院の内科外来を担当しながら、医師の役割が明瞭に見えてきました。短時間で患者を次々と診ていかなければいけない外来で、「治療」の中に、私がイメージする「指導」の概念を盛り込むことが困難であることも見えてきました。そして、外来診療の担当医師は、健康保険制度を稼働させる作業員に過ぎない、という見え方もしてきました。作業員の範疇を超えることを実施することは許されません。
外来を担当しているうちに、
「このような診療を行うのは、どんな医師でもできる。いや、その表現は良くない。こんな診療を遂行するための優秀な先輩、後輩、同輩がたくさんいる。私は異なる道を歩みたい」
という思いが強くなっていきました。
そこで、目を向けた、というか、「社会的必要性があるのはこの分野だ」と目を付けたのが、「健康管理を指導する」という医療でした。

以後、四谷メディカルサロンを創設し、プライベートドクターシステムを運営し、健康管理の学問化と指導体系づくりに取り組んできました。平成9年の頃には、
「健康管理とは、90歳を超えても、頭脳明晰で自分の足でどこにでも行けて、意欲高く、疲れを知らず、見た目の姿は50歳、を実現するために取り組む諸行為である」
という定義を設け(東京新聞連載)、学問化に対する土台を築き、以後、予想医学の概念を生み出し、また、マジンドールダイエットプラセンタ注射をはじめ、数々の派生医療を世に送り出しました。

さて、身体の状態に関する説明、予想医学をベースとする指導を行いだして、25年ほどたつうちに、「健康管理のソリューション(解決)」の全体像が見えてきました。そのソリューションとは

  • EPA体質
  • 成長ホルモン
  • マジンドールダイエット
  • 軟骨補強
  • アディポネクチン
  • ベータグルカン
  • 幹細胞
  • 運動

の8つのキーワードに集約されています。そのひとつひとつを手短に解説しましょう。

メタボリック系の問題に関していろいろなことが語られています。難しい話に持ち込みがちですが、そのメタボリック系のシンプルな解決策は、EPA体質作りです。食生活が欧米化することによる体質の変化、とそれに連動して増加した疾患への対策は、脂肪細胞の中の脂肪成分のEPA割合を増やすことです。「コレステロールがどうのこうの。悪玉が云々。動脈硬化がどうのこうの、心筋梗塞というのはどうのこうの」などと、面倒くさく話すより、「EPA体質を作りなさい」で解決(ソリューション)です。

成長ホルモンを利用する人は増える一方です。特に舌下投与剤は、副作用の心配もなく、10年、15年の連用でも副作用問題の心配は不要です。成長ホルモンの作用はたくさんありますが、その中心になるのは、蛋白同化作用です。
蛋白同化作用とは、摂取した蛋白質を自分の身体向けのタンパク質に作り替える一連の化学反応のことです。この作用の衰えが、そのまま、体力、容姿の老化につながります。それを回復させることは、そのまま若返りにつながります。この作用を高める成分として知られているのは、成長ホルモン、アルギニン、プリモボランです。プリモボランは長期連用での副作用が問題となりますので、安全性を考えると、成長ホルモンとアルギニンです。
さらに、「意欲向上」「億劫でなくなる」「いろんなことを楽しみたい」「生活がポジティブになる」という効果を含めると成長ホルモンが非常に優れています。成長ホルモンは、健康管理のソリューションとして大きなウェイトを占めます。

40代、50代の肥満傾向は早死にします。70歳以上の痩せすぎも望ましくありません。体重管理は健康管理の基本であり、ソリューションの一つであるのは言うまでもありません。ほとんどの人がそれを意識しています。しかし、上手く体重をコントロールできない人が大勢います。その人たちへのソリューションが、食欲抑制剤(マジンドール)の利用による体重減量、つまり、マジンドールダイエットです。食欲抑制剤を用いてダイエットに取り組みながら、体重管理のメカニズムを修得することが、ソリューション価値の大きい指導システムになります。

関節部の骨の表面は軟骨でおおわれています。中年以後、あるいは運動しすぎる人は、この軟骨がすり減ります。すり減りを防止し、さらに補強することは、重要な健康管理のソリューションに値します。これに対しては、軟骨原料の摂取が功を奏します。グルコサミン、コンドロイチンなど、軟骨成分が、サプリメントとして開発されています。

アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される成分ですが、脳機能の維持に重要な影響を与えています。ここというときに、アディポネクチンが十分に分泌される身体は、脳機能が衰えることありません。だから、認知症発症もなく、ボケません。アディポネクチンの分泌限界になると脳機能が低下する、と思えば理解しやすいです。アディポネクチン余力を得るには、植物の葉緑素成分であるフラボノイドの一種が役立ちます。ベストチョイスは今のところ、明日葉のカルコンですが、今後の研究が期待されます。なお、脳機能の維持といえば、同じくフラボノイドの一種であるイチョウ葉エキスや、緑茶の成分であるテアニンを忘れてはいけません。

免疫力のソリューションは、ベータグルカンです。これは、キノコの主成分で、腸のパイエル板というところに働きかけ、リンパ球の成熟に一役買います。このサプリメントを開発して以来、20年が経過しており、ずっとその役立ちぶりを観察してきましたが、口内炎が減る、風邪をひかなくなる、身体が丈夫になった印象がある、などの点で、間違いなく効果を実感します。
ダイエット中は免疫力が低下しがちで、風邪をひいて挫折する人が多かったのですが、βグルカンを利用すると、風邪をひかなくなります。免疫力のこときがかりにするのでしたら、面倒なことは考えず、ベータグルカンを摂取するのがいいです。

血液中には、赤血球、白血球などに混ざって、幹細胞が流れています。この幹細胞は、必要に応じて身体の各部署に入り込み、その場所の細胞へと変身します。つまり、人体のあらゆる細胞に変身できるのです。このような細胞を万能細胞といいます。肝臓の機能が衰えると肝臓の細胞の隙間に入り込んで、幹細胞は肝細胞に変身します。肌が衰えると表皮細胞の隙間に入り込んで、表皮細胞に変身します。子供の場合は、骨の骨端線に幹細胞が入り込んで、まずは、新たな軟骨細胞に変身し、やがて骨を伸ばす原動力となります。
幹細胞が働くということは、その場所に新しい細胞が生まれたということを意味するのです。ストレスやプレッシャーが強いと幹細胞の働きは鈍ります。だから、ストレスがあれば大人では老化が進み、いじめなどがあれば、子供では背の伸びが悪くなるのです。
肝細胞の活性化には、胎盤エキス(プラセンタ)が役立ちます。要所要所で、プラセンタを利用するのは、まさに健康管理のソリューションです。

身体をしっかりと動かすことは、間違いなく、健康管理のソリューションです。腱の伸縮能力の維持、つまり、関節柔軟性の確保は、身体能力の礎です。そして、階段を登るのをものともしない筋力の維持、心肺能力の維持は、活動意欲の源泉です。とにかく、日常、「身体を動かす」という基本中の基本は実行していなければいけません。先進国ではフィットネスクラブが増えていますが、この観点で考えるとごくごく自然の展開であることが納得できます。運動の健康効果を最大限に得るためには、ミネラルのクロムを使うことがキーになります。

 

説明と指導を中心とする、様々な健康管理指導のメニューを長年実施してきました。世間を見渡すと、その分野に取り組もうとしている医師たちが徐々に出現しはじめています。それはそれで非常に喜ばしいことです。
私の方は、その分野に関しては個別指導ではなく、幅広く全国に向かう健康教育に視点を移しています。個別の指導は、後進の医師たちに譲り、私は、「全国民の健康、人体、医療に関する知識の向上」を目標に次のステップの活動へと進むべきだと思っています。

その活動を本格化する前に、健康管理のソリューションとして、長年の経験をまとめさせていただきました。

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