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月刊メディカルサロン「診断」

ベーシックインカムの連想と妄想掲載日2021年11月29日
月刊メディカルサロン12月号

私は、途方もない連想を巡らすことがあります。前々回にベーシックインカムを述べましたが、今回の衆院選でそれを掲げる政党があったので、驚くと同時に、私の妄想はとどまらなくなりました。

成人一人あたり月額15万円

人が集まって企業ができています。その企業が単位となって事業活動を行っています。そして、その売上は、企業を構成する人員に配布されます。ということは、企業を強靭化することが従業員の幸せのために第一ということになります。企業が弱ければ、従業員を守ることはできません。
前々回、何気なく、「その企業を強靭化するためには、解雇しやすいシステムにしなければいけない。そのためには、全国民にもともと最低生活を保証できる金銭を毎月支給しておく国家システムにすればよい。その金額は、成人一人当たり月額15万円」という主旨の話しを述べました。日本国内で回転しているお金になるのですから、財源のことは述べませんでした。
ベーシックインカムのことを、直感的に毛嫌いする人が多いようです。「働かざるもの、食うべからず」の信条が支配的だからです。しかし、その信条が、国体の改革や進歩を妨げているのかもしれません。

各種社会問題をも一気に解決

さて、私の妄想は進みます。子供には、毎月8万円を支給したらどうだろうか。すると、父、母、子供二人の家庭には、15万円×2+8万円×2=46万円が毎月支給されることになります。夫婦の給料も加算されたら、子育てが容易になります。子供が増えて、少子高齢化の問題は解決されることでしょう。教育費の負担も容易になり、教育の機会均等が実現されます。
離婚すると生活できなくなる不安や財産分与前に別居すると不利になるかもしれないという不安が、離婚を妨げ、いやいやながら一緒に生活するケースがあります。しかし、毎月15万円の定額給付があれば、別居してから財産分与の問題を考えることができます。離婚が増えると、教育費の問題も生まれますが、子供を受け取った方に子供への8万円が支給されますので、教育費問題は解消されそうです。児童手当などは不要になり、行政は驚くほど簡略化されます。

医療費を源泉徴収する

衣食住に加えて、医療費が生活維持のために必須費用になっています。この医療というのは、日常的に必要となるルーチン系の医療と、それ以外のアクティブ系の医療に分かれます。アクティブ系医療というのは、救急対応やコロナ禍におけるコロナ感染者の治療、難病治療など研究を兼ねる医療などの「変化、成長が激しい医療」であり、待機的人員を備えておかなければならず、体制維持の出費が大きくなる医療です。
国民にとって日常的に必要なのはルーチン系医療ですので、支給される15万円のうち、3万円をルーチン系医療費として源泉徴収します。国家の立場では、年間で30兆円以上がルーチン系の医療費として徴収できたことになります。同時に、給料から健康保険料を徴収する必要がなくなり、健保組合が不要になり、余計な中間搾取型出費がなくなります。給料の手取りは、増えることになります。
アクティブ系医療の医療費ですが、これは企業が負担すればいいのです。元々は従業員から源泉徴収していた健康保険の掛け金と同額を企業が負担していたのですから、不満はないはずです。企業の負担金は今よりも少なくなるのは間違いありません。
国家の立場では、医療費部門の赤字出費がなくなります。

消費税を20%に

一人当たり15万円の出費と同時に、消費税を一気に20%に増額します。毎月10万円(税抜)で生活していた人は、消費税負担がもとの1万円から2万円に増えますが、別枠で15万円もらえるのですから、不平不満はありません。毎月150万円(税抜)で生活していた富裕層も、消費税負担が15万円から30万円に増えますが、別枠で15万円が支給されていますので、これまた不満を述べる根拠はなくなります。月額150万円以上の出費生活の人は、15万円もらっても出費は増えますが、富裕層からの徴収ですので、国民は拍手喝采することでしょう。
この際、住居費、つまり家賃に対しても、20%の消費税課税を行います。家賃8万円の部屋に住んでいる人は、今まで徴収されなかった16000円の負担増になりますが、これも15万円をもらえているのですから、不満は言えません。
NHKの受信料が何かと話題になっていますが、個別の徴収から人頭割の徴収に切り替えれば、15万円からの源泉徴収が可能で、この問題はなくなります。

15万円を貯蓄させない仕掛け

毎月15万円をもらえるのですから、将来の年金不安はなくなります。と同時に、年金の掛け金の徴収が不要になります。リタイア後の収入が月額15万円では足りない、という人は、民間の年金型の生命保険に加入しておけばいいのです。民間企業が潤います。すでに年金の掛け金を多額に支払ってきたので年金は月額15万円以上だったはずだ、という人には、年金を徴収してきた組合の解散と同時に、一時金を支払って解決します。

毎月15万円を支給しても、それが貯蓄に回っていたら意味がないじゃないか、という声もありますが、私の妄想の世界では解決できます。死亡時の遺産から、生前に受け取った支給金の総額を返してもらうのです。つまり、毎月の15万円を20年間受け取ったのなら、15万円×12(ヶ月)×20=3600万円受け取ったことになります。その人の死亡時の遺産が3600万年以下なら、全額を国家が返してもらうことになります。死亡時の遺産が5000万円なら、3600万円を国家に返して、1400万円が相続になります。死亡時の遺産が受け取った総額以下なら、全額没収です。相続権者から相続遺産がなくなるではないか、という不平不満が出そうですが、その相続権者にも毎月15万円が支給されており、それが相続遺産みたいなものだから不満を述べるな、という論法で納得してもらいます。
もともとの富裕層は支給された全額を死亡時に返金することになりますので、富裕層には「預けただけ」になり、不平不満はなくなります。国家の立場では、支給した金銭は全額使い切ってもらうか、返してもらうかのどちらかになるのです。
晩年になった時、過去に支給されたベーシックインカムの支給金以下の金銭が死後に遺産として残りそうだ、となると、死後に全額を没収される残念さが心に浮かびます。だから、生前に使い切ろうとする本能が働きます。今の日本の制度では、親が晩年に出費することは、その子供たちにとっては自分たちへの相続遺産が減ることを意味していますので、子供たちは歓迎していません。だから、せっかくそれなりの資産を蓄えたのに、潤っていない晩年になっている人が大勢います。私が述べている制度だとそれがなくなり、贅沢を楽しむ華やかな晩年となります。そこに新しい事業が生まれ成長します。

おわりに

解雇しやすくするためのベーシックインカムです。企業は、年金や健康保険の会社負担がなくなるだけではなく、組織としての最大効率性を実現でき、収益力は飛躍的に高まります。当然、企業にはベーシックインカム負担金を支払ってもらいます。
妄想はとめどなく広がりますので、この辺でやめておきます。でも、宇宙旅行が今後10年で一気に身近なものになる勢いです。途方もない夢物語や妄想話も実現される日が来るのですから、油断も隙もあったものではありません。

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