HOME > エッセイ集 > 少子化対策・・・異次元って何?

月刊メディカルサロン「診断」

少子化対策・・・異次元って何?掲載日2023年5月1日
月刊メディカルサロン5月号

国会では少子化対策が議論されています。こども予算倍増や児童手当て拡充(所得制限の撤廃)、夫の育休取得の義務化など、様々な議論が見られますが、どこが異次元なのかさっばりわかりません。すべて従来施策の延長です。
異次元というのは「思想、信条そのものを変える」ということで、それがどういうことかを考えてみたいと思います。多くの人の不快を招いたり、お叱りを受けたりするかもしれませんが、異次元というのは今の常識を超えているという意味であり、あえて異次元というものを文章にしてみます。

あっばれ!母娘

先日ある女性から、次の話を聞きました。

私の友達の女性のことなのですが、彼氏との間で妊娠したみたいなのです。彼氏に子供ができた旨を伝えると、「ほんとに俺の子?」と言われたそうです。当然、修羅場が展開されました。友達の女性は、どうしても産みたかったのです。しかし、男の方が、無理なこと言うなと一蹴しています。どんな理由で男がそう言ったのかはわかりません。友達は、家に帰って母に相談しました。
「私はもうこの年齢だし、妊娠のチャンスはないと思っている。なんとしてもこの子を生みたい」
母は毅然と答えたそうです。
「男には、中絶するからと言ってお金だけもらって別れてしまいな。そんな男に何を言っても何のメリットにもならないから。子供は産んで、お母さんが手伝ってあげるからしっかり育てていこう」

そして実際に産んで、今、子育て中とのことです。母娘の勇気、気概には心の底から感心しました。
話を聞いた私は、寄付をしてでもその母娘と子供を援助してあげたいと思ったものです。
このような母娘と子供の3人をどのように保護していくかを考えることから、異次元の少子化対策は生まれるのだと思います。

家計の単位を「母子」とする

この場合、生まれた子供は私生児となります。真の父親の相続権があるのかどうかはよくわかりません。男が「無理だ」と一蹴した理由は不明ですが、他に家庭を持っていて認知しなければいけない子供ができるのを避けたかったのかもしれません。あるいは、子供を持って生活していく資金に自信がなかったのかもしれません。あるいは、ただの遊び人で逃げたかっただけかもしれません。あるいは、よくある援助交際で、女の方が「ピルを飲んでいるから」と嘘をついていたのかもしれません。どんな理由、経緯があるかは不明ですが、生まれてきた子供は私生児となります。これに類似した事態は、実は日本社会にたくさんあるかもしれません。国家が行うことは、まず、母親と子供を差別から守るということになります。相続権などの制度上の差別だけではなく、「他人から蔑んだ目で見られる」ということに対する対策です。
いろいろな対策のアイデアが浮かびますが、異次元の対策を考えなければいけません。すると、家計の単位を「夫婦」ではなく、「母とその子供たち」に変更するという方策が思いつきます。

今の日本社会は、「夫婦を家計の単位とする」という形式で世の中の仕組みや法律ができています。婚姻により夫婦が形成され、その夫婦を単位として社会モデルを形成するという手法です。離婚率、特に実年者の離婚率が高まり、生活資金のためだけに婚姻状態を続けているという夫婦が増えた現代において、婚姻制度がどれほどの意味を持つのかが不明になっています。
身近に聞く悩み話は、離婚後の子供の養育費を元夫が払ってくれないというものが多いです。元夫の方は、「お金が足りない」と言い訳しますが、子供の養育費を第一優先にしていないだけです。子供の養育資金を出費の第一優先にできない男が、結婚して子供を作ってしまうことに問題があるのです。元夫が養育費を払ってくれなくても、母は気丈に子供を育てています。私はそんな母達を尊敬します。
婚姻制度を廃止して、社会の単位が「母とその子供」になったとします。それでも子供の父親はどこかに存在します。その父親には、母子供の単位に対する絶対的な生活保障義務を課します。「入籍しているから」や「認知しているから」ではなく、「自分の子供だから」という理由で、母子供の単位の生活保障をさせるのです。生活保障ができなくなった場合は、破産法を適用してその父親を禁治産者にしてしまいます。すると男は、母子単位の生活保障を自己資金利用の第一優先にせざるを得ません。そうしたら、大抵の場合、生活保障はできてしまいます。なお、子供は母親姓ですが、父が自分の姓を与えてもいいことにします。
結婚しているから離婚するのであって、もともと結婚していなければ離婚は存在しません。母子単位とその生活保障義務を持つ男は、一緒に住んでもいいし、一緒に住まなくても構いません。仲が悪くなってしまえば、しばらく離れていればいいだけです。離れっぱなしもあり得るでしょうし、すぐに戻ってしまうこともあり得るでしょう。もともと結婚していないのですから、面倒な離婚訴訟などは不要です。また、婚姻制度がないのだから、男女の同棲生活に対して後ろ指を指されることもなくなります。
男が本当に資金不足で、母子の生活保障ができなくなればどうするのか、そこは国家の出番です。
男を禁治産者にして、代わりに国家がその母子単位の生活保障を行って保護するのです。

子育て終えたらお金持ち!?

生活保障と言いますが、どれくらいの金銭を保証すればいいのでしょうか?生活費や学費などの最小限をイメージするようでは、異次元の少子化対策とは言えません。専業的に子育てした場合は、子育て終了後には、母に今の金銭価値で2000万円以上の貯金が残るように設定するのです。つまり、子育てを終えたらお金持ちになっている。それこそが異次元の少子化対策です。
女性は、社会の差別を気にすることなく子育てに励むことができます。そして子育てに励めば、後の人生を余裕で消費生活を楽しんだり、仕事したり、つまり自由を謳歌して人生を楽しむことができます。
男はどうなるのでしょうか?
男はどうでもいいのです。男はこの世に現れて社会を進歩させるために24時間365日体制で仕事して、一つの母子単位を裕福にして、やがてポッとこの世から消えていく。それだけの存在でいいのです。人類を維持、存続させる偉大な役割は、女性が担っているのです。男は、この世にポッと現れて暴れまわって、ポッとこの世から消えていくエイリアンのようなものです。男に財を蓄えさせる必要はありません。自分が持つ母子セットの中に財を蓄えていくのです。

異次元対策が実現したら・・・

さて、この異次元対策で、女性は、3つの選択が可能になります。

  • 夫の生活保障のみで子育ての手伝いはない中で子育てに専念して、子育て終了後に2000万の貯金を手にする。
  • 子育てしながら毎月の生活保障資金を得て、その資金を子育ての委託(ベビーシッター、私設育児所など)にあてて、仕事を継続し社会活動を続ける。
  • 子育てはしない。出産しない。独身を続け社会生活を楽しむ(同棲はあっても婚姻はない)

男が資金破綻した場合の母子単位の生活保障を国がする場合の財源はどうするのか、と尋ねる人がいるかもしれません。公的な託児所などに支払っている公的資金や今の育児手当、その他をすべて廃止してしまえばいいのです。何せ母子単位の生活はどこかの男が保証しており、国が子育て関連の公的施設に出費する必要はなくなります。子育て関連施設づくりは、民間に委ねてしまえば、今よりもはるかに充実した子育て体制が出来上がります。
以上のように考えるのが、異次元の少子化対策というものです。「男が女子供を守る」という原点回帰の話でしたが。

エッセイ一覧に戻る