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月刊メディカルサロン「診断」

本年の締めくくりに、とりとめもなく思うこと月刊メディカルサロン1997年12月号

メディカルサロンプライベートドクターシステムには、現在500人近い会員がいます。

「私の著書を読んで」や「テレビや雑誌でみて」という方もいますが、ほとんどは会員の方の紹介で入会した方々です。開設以来5年間でホントによくこれだけの方に入会していただいたものだと思います。ご紹介して下さった方には誠に感謝しております。この場を借りて、あらためてお礼申しあげます。

500人の中で、日頃よく連絡を取り合い、定期的にメディカルサロンでお会いしている人は300人ぐらいです。身体改良中で2週~1ヶ月毎にお会いしている人が約80人です。その方々には身体の目標状態を定めて、その目標に近づけるように丁寧に指導(健康管理指導)を続けています。心筋梗塞、脳梗塞が起こらない身体、胃ガンを発症しない身体をつくることが課題になります。目標に対する達成状態を採血などで具体的に示してあげられるように工夫し、成果に対して共に喜び合うことが重要になっています。この期間はまた医学、医療を勉強していただく期間にもなります。

3~6ヶ月の定期チェックでお会いしている人が約200人います。その人達については、お会いする毎に「うん、大丈夫。これなら次回あうまでこの人の身体に問題は起こらない」と、私自身が納得できることを重要課題としています。

「何かあったら相談しよう」という気持ちからか、ほとんど会わない人も約200人ほどいます。「便りがないのがよい便り」ともいいますが、この200人から突然連絡があったりしたときは、私は思わず「ドキッ」としてしまいます。

今年の春先に、ある会員の紹介で一緒に食事をした50歳過ぎの女性がいました。「血圧が急に高くなることがあるんです」などと話していました。離婚しており、まだ中学生の子供がいるとも話していました。仕事のストレスが強いとも話していました。一族の健康状態のお話などを聞きました。総合的に考えたところ、その人の将来の健康状態に私は一種のイヤな予感を感じました。私は話しました。

「うちに入会して下さい。今後の健康管理は私がみていきましょう」

会員の皆さんはよくご存知だと思いますが、私から「入会して下さい」という話しを切り出すことは滅多にありません。このときはイヤな予感がそうさせたのです。その人は「今は仕事が忙しいですから」などと話して、結局入会しませんでした。その後数カ月が過ぎました。その人のことを忘れていた今年の9月。その人を紹介した会員の人から突然電話がかかってきました。

「春先に紹介したあの人、昨日、くも膜下出血で死んだんです」

人の命はあっけないものだなあと思いました。運命といってしまえばそれまでですが、そうなることを少なくとも私は十二分に予感していたのです。あのときもう少し強引に勧誘していたらと一瞬後悔したものです。そういえば3年前にも、食事の場で、ある人の健康状態を聞いた結果、私から入会を勧めた68歳の男性がいました。その人も結局は入会しなかったのですが、その1ヶ月後に心筋梗塞で死亡したのです。

私が入会を勧めたのに、入会しなかった人は、その後あっけなく人生の幕を閉じています。また、これまで私と意見が合わず退会状態になった人が5人います(年会費の期限が切れたところで退会になる)が、そのうちの一人が今年の春お亡くなりになりました。私の健康管理指導に従ってくれていたらなあと思ったものです。

現在の会員の皆さんは皆驚くほど元気です。プライベートドクターシステムの正々堂々とした会員でお亡くなりになった人はまだ一人もいません。この記録をどこまで続けられるのかがいまの私のテーマになっています。人の命のあっけなさは私が日頃よく経験していますので、最近は会員の方と会う毎に、一つ一つの事象まで慎重さが増している自分の姿に気づきます。メディカルサロンには80歳以上の会員も随分いますので、いつまで記録を更新できるか不安です。記録更新のために日に日に私の緊張状態が高まっています。このようなことを考えていると、「命がある」ということだけに目が向いてしまいますが、メディカルサロンの使命は、「命がある」だけではいけないのです。健康面での不安がなく、楽しい快適な生活ができるように下支えするのも重要な役割なのですから。

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