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月刊メディカルサロン「診断」

情報を活用して、自由気ままに不摂生しながらも長生きを目指す月刊メディカルサロン1998年5月号

私はよく、「自由気ままに不摂生しながらも、健康で長生きを目指すのが健康管理の理想です」と語っています。たいていの人は深い意味が分からずぽかんとします。今回はその点について軍隊を例に挙げて説明しましょう。

A氏が率いる軍隊は、見事なまでに統制がとれています。24時間、気を緩めることなく全兵士が緊張し続けています。隊長であるA氏の命令一下で軍の姿はどのようにでも変化します。いつどこから敵が攻めてこようともびくともしないでしょう。まさに無敵の軍隊といえるでしょう。
B氏が率いる軍隊は、正反対です。全兵士がいつもリラックスしています。兵士どうしでゲームや遊びに興じています。ただし1日1~2時間の練兵は厳しく、一人一人の兵士は精強です。敵が攻めてきたときは・・・・不思議なことに敵が攻めてくる直前には隊長であるB氏から号令がかかっています。この号令がかかると全兵士は瞬間的に緊張し、戦闘態勢をとることができます。敵が攻めてきたときは戦闘態勢をとっているのですから、これもまた無敵の軍隊といえるでしょう。

あなたが隊長になり軍隊を育てるとしたら、どちらの軍隊を育てたいと思いますか。
私が講演でこの話をするとほとんどの人がB氏の軍隊を育てたいと答えます。そこで私は質問します。

「B氏の軍隊を作るために絶対に必要な条件は何ですか」と。

答えは、「情報」です。斥候隊をいつも遠くまで派遣して、敵が近づいているという情報を確実にキャッチしなければなりません。その情報網が完璧であるからこそ、B氏の軍隊は無敵でいられるのです。

さて、健康管理の話をしましょう。「あれはダメ、これもダメ」の摂生型の健康管理を一生続けたい人はいますか。この健康管理はまさにA氏型の健康管理方法です。塩分はダメ、肉類もダメ、粗食に耐えよ、お酒も飲むな、運動せよ、野菜を食べろ、早寝早起きに徹しろ、1年に一回は人間ドックにいけ。面白いことに、ありきたりにいわれている健康管理はすべてこのタイプの話でしょう。こんなもの、知的な健康管理ではありません。
健康管理の理想は「自由気ままに生活を楽しんでいる。それでいて、健康トラブルが起こらないような肉体管理が自然と行われている」であることに違いありません。
それを成し遂げるためにもっとも大切なのは情報です。まさにB氏型の健康管理です。鋭く要点を押さえる健康管理学の知識をまず知ることが大切なのです。知った上で自分の生活の実践に取り込むことを考えるのです。それが本来の健康管理ではないでしょうか。

ピロリ菌を知らないために、胃ガンの不安と闘いながら毎年、無意味にバリウムの胃透視検査を受けている人が大勢いるのです。EPAを利用する健康管理法を知らないから、大好きなお肉を食べないで我慢しているという人がいるのです。肺炎クラミジアのことを知らないから、「すぐ息切れするのは年をとったからしょうがない」と諦めているのです。自分の高血圧の原因を分析することができないから、効果がないのに「塩分を控えなければ」とプレッシャーを受けているのです。

健康管理学の知識、これを得ることが「生活を自由に楽しみながら、90才を超えても頭脳明晰で自分の足でどこにでもいける」を目指すための第一歩になるのです。では、どこからその情報を得ればいいのでしょうか。まさに、本会報誌アラサルーテ※から得るのです。本会報誌は、理想の健康管理を夢見る人にとって、必須の情報源といえるのですよ。

ちなみにA氏の軍隊とB氏の軍隊が闘えばどちらが勝つでしょうか。戦いが長引けばA氏の軍隊の各兵士は、A氏に対して恨めしい気持ちを抱くようになるでしょう。軍におけるA氏の信用は低下していきます。B氏の軍隊の各兵士は時間がたてばたつほどB氏への忠誠心を高めることでしょう。それがわかっているA氏は決着を急ぐことになります。決着を急ぐA氏の思惑はB氏の掌中のものとなり、B氏の主導権下で戦いは展開されます。時間と共にA氏の軍隊は空中分解し、B氏の勝利は間違いありません。

※「Alla Salute」は2000年10月号より「月刊メディカルサロン」に誌名変更しました。

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