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月刊メディカルサロン「診断」

テーマ月刊メディカルサロン1998年9月号

一つの国が興り成長していく様を考えてみましょう。終戦後の日本を例に挙げると分かりやすいと思います。

初期段階においては、国民は食べ物を求めます。何はともあれ「腹を満たす」ということがテーマになるのです。食が満たされるようになると、次は衣服を求める時代がやってきます。衣服が満たされると、次は3C、つまり、車、カラーテレビ、クーラーの時代になります。身の回りの利便性やちょっとした娯楽がテーマになるのです。ほとんどの国民にこれらが満たされると、次は何でしょう。そう、住宅です。国民はよりよい住まいを求めるようになります。住まいを求めるようになると、じわりじわりとバブル経済が始まります。付加価値の高いインテリジェントビルなどが登場し、その頃にバブルはピークを迎えます。そしてこのバブルは必ず弾けます。ここまでの一連の過程は、人間心理の原理に基づいており、世界共通と考えていいでしょう。一国の成長過程にはバブル局面は必ず存在するのです。そして必ず弾けるのです。

さて、次が問題です。バブル崩壊後、調整期間を経て、どのような時代になるのでしょうか。社会テーマが「食→衣→3C→住」と変化してきた次を予想してみるのです。一言で「予想してみる」と申しましたが実は大問題です。

この予想に正解を得た人は今後、成長することになるでしょうし、外れた人はだんだんと廃れていくことになるのですから。諸事情が重なり混迷化された社会経済政治情勢の中、次の時代の予想は困難であり、各個人で予想が違っていて当たり前です。あなたはどのように予想しますか。私は「人生を楽しむ」と「世界に飛び出す」が社会テーマになるとにらんでいます。

「人生を楽しむ」を一歩深めて解説しましょう。家族単位で人生を楽しむ時代へと変化していくのです。文化的生活を営む上での最小限必要な衣食住を求めていた時代は、夫婦バラバラにならざるを得ない一面がありました。経済を成長させるという大義のもと、夫は外で耐え、妻は内で耐えていました。お互いの耐え方の内容を理解し合うことが難しかったのです。バブル崩壊後はこれは是正されていくと思います。人生を楽しむ単位が各個人から夫婦子供達、つまり家族が単位となることでしょう。「家族が単位」になるというところが重要です。一方で離婚が推進され、結局、不仲家族は社会の大流から淘汰されていくのです。

「世界に飛び出す」は、単に海外旅行に出かけることではありません。生活や仕事といった社会活動の拠点を日本のみでいいかを考え直すということです。海外へ移るというのは、これまでも大企業がそこそこ大きなプロジェクトのもとで行ってきましたが、これからは、個人や中小企業が単位となっていきます。中央アフリカの一部を除いて世界中どこにも法的規制が存在します。どこの法的規制下がもっとも住み良いかを考えることになるのです。

世界を舞台にしたとき不景気という単語は消滅いたします。世界を舞台にしたとき、日本の規制は極端に薄れます。まず「国をまたぐ」ということのノウハウを蓄積し、実践的有効活用の手段を講じていく時代へ突入していくのです。口先だけで「税金のことを考えるなら、香港に移ればいいじゃないか」や「オーストラリアのクイーンズランド州は相続税がないんだって」などと喋る時代は早く終えてしまい、実行動に出る時代にしましょう。日本という島国から脱出したら、何かを失うのじゃないかと怯える時代は終わっているのです。

健康管理指導という大本流テーマに対し、「人生を楽しむ」と「海外へ飛び出す」はメディカルサロンの副流として存在し、側面的テーマになっています。先を読みにくい日本の情勢の中で夢と希望を失い、それが健康にも影響している人が大勢いる中、日本の道筋を明確に示し、実行動へのラインづくりのノウハウを蓄え、各個人に指針を与えて、覇気を蘇らせていただくこともメディカルサロンにとっては重要なテーマなのです。

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