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月刊メディカルサロン「診断」

四字熟語月刊メディカルサロン2000年12月号

私は研究者として、健康管理の学問化を追求する毎日を送っています。研究者としての日々を過ごすときには、誠に心安らいでいます。しかし、メディカルサロンが実現を目指す理想として、だいそれた旗印を掲げた関係上、その心安らぐ日々にのみ安穏としているわけにはいきません。

理想を実現していくためのスタッフを育て、鍛え上げていくという教育者としての一面も要求されます。また、理想を実現する母体組織を運営するという経営者としての側面も要求されています。今回は「経営者として」の立場で、座右に据えている四字熟語を4つ選んでごく簡単にさらりと語ってみましょう。

「神出鬼没」

ある計画を遂行するとき、どのような手法をどこからスタートさせるか、転じてどのような方向に向かっていくか、常に人の想像を越えるところに位置して、人の意表をついて動き出さなければいけません。そのような動きに対しては、競合相手はどのように対処するべきか、どのように変化していくのかがわからなくなり、ついに相手は主導権を失い、こちらの掌にのるようになります。つまり人の常識的予測を超えたところに立脚して思索するところに成功していくカギがあります。このように動くことを神出鬼没といいます(競合的相手というのは他社の人間だけではありません。同じチームの仲間も競合的相手なのです)。その先には主導権の確保が存在します。

「電光石火」

計画の実行は、長い時間かけてだらだらと続けるものではありません。時間がたつと情勢が変化し当初の予定と違う方向へと事態が進行しがちです。また、身体的疲労が生まれるだけでなく、精神的疲労も生まれ、士気が低下します。

日ごろは鋭気を養っておいて、計画を実行に移すと決断したら、瞬時にして動き出し、あっという間に目的を成し遂げなければいけません。競合相手がいたとしても対策を練る時間的余裕をいっさい与えません。そのように動くことを電光石火といいます。この場合、動き出したら、目にもとまらない速さで完成させるための下準備が大切です。

「強行突破」

過飽和市場となっている日本経済において、簡単に実現できるものなどは存在しません。簡単に実現できるものはとっくに実現されているからです。何かに取り組むときには、困難がつきまとって当たり前です。この困難を恐れてはいけません。多少の犠牲を覚悟しても突撃して成し遂げなければいけないことがたくさんあります。比叡山を焼き討ちした織田信長の精神です。社会正義のための必要性を感じたときは、不可能と思われていることでも、外聞や犠牲をものともせず、ファイトを燃やしてやり遂げようと決心し行動していく。そのように動くことを強行突破といいます。強行突破の先には古い慣習の打破と新秩序の樹立が生まれます。

「泰然自若」

チョコチョコと動き回ってはいけません。精神をぐっと落ち着けて、まったく動かないポーズをとります。大きな作戦を水面下で展開しているときほど、動いていないフリをしなければいけません(他者から見ると「あまりに動かざるは、かえって大いなる動きによる」の状態です)。また、予想外の事態が起こっても、ひとかけらの乱れさえみせてはいけません。いざ、動き出すその瞬間まで、まったく動かないでどっしりとかまえる。そのような姿勢を泰然自若といいます。その先には仲間の精神的余裕とほどよい緊張と信用と安心感を生み出すことができます。

「神出鬼没」「電光石火」「強行突破」「泰然自若」
この4つを組み合わせることが、経営者として行動しなければいけなくなったときの私の基本的な心構えです。

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