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月刊メディカルサロン「診断」

医学は自然科学である月刊メディカルサロン2002年5月号

医学の「常識」には合わない不思議な話・・・

「先生、膝の痛みがなくなりました。知人にもらったグルコサミンのサプリメントが効いたのだと思います」と会員のSさんが私に語りかけました。

「えっ。あの膝の痛みがなくなるなんて・・・。不思議なことがあるものだ」医学の勉強をしてきた私には、不思議な話でした。

Sさんの膝は、整形外科で変形性膝関節症と診断されていました。変形性膝関節症というのは、長年の膝への負担が重なって、膝の関節を被う軟骨が磨り減ってしまう病気です。磨り減った結果、痛みがとまらなくなります。そして軟骨の磨り減りが進行すると、膝が変形してきます。

体重が重くてこの症状がでている人は、ダイエットに取り組んで体重を減らせば、痛みは治まります。しかし、Sさんは適性体重を保っており肥満体ではありません。長年の座禅が膝の負担となったのでしょう。この変形性膝関節症は、整形外科的に根本的な治療はないのです。せいぜい、「太ももの筋肉を鍛えなさい」「この鎮痛剤を内服しましょう」「膝に水がたまれば、その水を抜きましょう」と言われるぐらいです。そして結局は「痛みがでるような負担を膝にかけないようにしてください」と言われるだけです。

その手ごわい変形性膝関節症の痛みが、知人からもらったグルコサミンのサプリメントで治ったのです。Sさんは虚偽をかまえる人ではありません。

Yさんは股関節の痛みに悩んでいました。ドラッグストアで買ったグルコサミンのサプリメントでやはり痛みがなくなったというのです。Yさんは通院している整形外科の担当医にそのことを話しました。すると「そんなはずはありません。痛みがなくなったのは他の何かの作用でしょう。サプリメントなんかが効く筈ありません」と頭ごなしに言われ、相手にされませんでした。「サプリメントであるグルコサミンが関節の痛みに効くなんて医学にあわない」というのが、その担当医の主張のようです。

その担当医の気持ちは私にはよくわかります。グルコサミンはたしかに関節軟骨の原料です。しかし、その原料を補給したからといって、関節が作り直され修復されるというのは、どうしても医学的には考えにくいのです。医学を勉強すればするほど、そんなことはありえないという気がしてきます。グルコサミンが腸から吸収されるのかどうかさえ疑問です。しかし、前述の二人は確かにグルコサミンのサプリメントで関節の痛みがなくなったといっています。私の心の中にも、整形外科医と同様のものが潜んでいます。しかし、その瞬間、愕然と大切なことに気がつきました。

現実直視の研究が医学の進歩へ

医学は自然科学です。つまり、この世の中に存在している「人」を分析し研究する学問です。現実に存在するもの、現実に起こっていることを何よりも重視しなければいけません。「現実」を研究していくのです。それなのに、医師側はいつのまにか奢り高ぶってしまい、医学から人を見ようとしています。目の前の現実に対し、整形外科医のように「医学にあわないものはおかしい。ありえないはずだ」と思い込んでしまっています。グルコサミンの話を聞いた場合は、「ほう、グルコサミンをとると痛みが軽減するのか。なぜだろう。ひとつ深く掘り下げて研究してみるか」と考えなければいけなかったのです。

そのときの思いを大切にして、私もグルコサミンのサプリメントを作ってみました。まずは、スタッフの親や祖父母に内服してもらいました。効果は確かに認められました。

「医学は自然科学である」という基本中の基本を大切にする心をとりもどせてよかったと思います。現実を直視して、それを深く分析研究するのが医学なのです。決して「医学にあわない。理不尽だ」などと思ってはいけなかったのです。

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