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患者と医療機関従事者(医師、看護師、事務員、その他)とが接する現場の改革

3.費用負担という横軸から生まれる来院不要の小分け処方システム

自由診療だからこそ進化した医療スタイル

どこかの病院の院長を務めるある医師が語っていました。
「診療して処方する、ということに関しては保険診療も自由診療も同じである」

この院長には自由診療の経験はありません。経験のないことを口にすると後に大恥をかくことになるのがしばしばです。

保険診療で高血圧などの慢性疾患の患者にある薬を投与するとき、最初に1か月分を投与します。もし、その薬が本人の体質に合わず、3~4日分しか内服しないで残ってしまったとき、医師は平気で「残った薬は捨ててください」と話します。また、診療の際に「前回の薬は余っていませんか」と医師から尋ねることは滅多にありません。患者から「まだ余っています」と言われて初めて気づきます。
保険診療においては、患者の診察代を考慮して診察回数を最小限にとどめようという意識もありません。これらは患者側が費用を負担しているのだ、という意識が医師側に乏しいために生じる現象です。
保険診療で医療を進めるとき、医師側は患者の費用負担を度外視して医療サービスを提供します。「費用のことを考えるのは医の道にあらず」とでも思っているのか、あるいは「どうせ保険だから費用はかかっていないのも同然」とでも思っているのでしょう。
治療方針の決定に患者の費用負担という横軸が存在しないで、医師は処方を含む治療計画(縦軸)を考えます。縦軸のみの診療が保険診療の実態です。

自由診療のメディカルサロンを運営する際、患者の費用負担という横軸は避けて通れるものではありませんでした。新しい予防医療分野が次々誕生する中で「その会員の健康は責任をもって私が守っていく」という方針のプライベートドクターシステムの場合、費用を問題視する人は少ないのですが、ダイエット医療やアンチエイジング医療などの医療においては、費用負担の問題は重大視されます。

一般に保険診療は、「体調不良を引き起こしたこの病気を治してほしい」という漠然とした目的で来院します。自由診療においては、「自分の身体をこのようにしたい」という明確な目標を持って来院します。その目標を実現することが診療の目的なのですが、その目的達成にあたって、費用負担という横軸を考えると「診察回数はできる限り少なく」「薬は決して余らないように。つまり必要最小量に」という絶対法則が生まれます。
そして、費用が関与するので、あらゆるところに「合意と了承」が存在します。保険診療における治療で、患者の意向にかかわらず保険点数枠をいっぱいに利用しようとする方針をとることとは、正反対の方針になります。自由診療においては、「インフォームドコンセント」などは原始的に存在しますので、保険診療のように声高に叫ぶ必要はありません。

保険診療と自由診療とでは、処方に当たる心構えを含めて、大きな違いがあるのです。その中で誕生したのが「小分け処方システム」です。

最初にごく短期間の医薬品のみ処方します。そして、3~10日後に身体の状況を電話で聞き取ります。診察に来てもらうと診察代などが発生するので、電話での聞き取りで十分です。身体状況に問題がなく、本人に継続意思があれば続きの分を処方します。続きの分の医薬品は宅配便で送ることも可能です(保険診療では宅配便は禁止されています)。
これらは、1ヶ月以上の治療期間を定めて、継続して同じ薬を投与することを予定する治療の際に用いる方法です。費用負担という横軸が入ると自然発生的に誕生するシステムです(このシステムが保険診療でも採用されれば、国民医療費はいくらか削減されます)。

「本人に継続意思があれば、続きの薬を宅配便で送る」という合意が医師と患者との間でなされています。従業員はそれにしたがって、患者の要求に応じ医薬品を手配します。当然医師側は、患者への投薬状況の報告を受けて把握しています。患者の費用負担を考慮すると自然に進化する医療スタイルですが、このシステムに対し、行政側からは「従業員に指示して処方させた」という理不尽なクレームをつけられました。

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